2023年5月  4.子ども・子育て支援新制度
 日本の教会の意向は「子どもたち」です。次世代を担う子どもたちが、すくすくと、のびのびと成長していくようにと祈る私たちですが、現実には少子化の傾向に歯止めがかかりません。2022年の出生数は、前年比5.1%減の79万9728人で、1899年の統計開始以来初めて80万人を下回りました。これは、政府機関の推計より10年ほど早いペースで少子化が進んでいることを示していて、この傾向が続けば、社会保障制度や国家財政の維持が厳しさを増すことは明らかです。
 それほどに、日本は子どもを育てにくい環境にあるのでしょうか。結婚の道を選ばない若者が増加し、子どもを望む夫婦が減少しているなど、さまざまな統計が少子化の傾向を顕著に示す中で、政府は国家を挙げて「子ども・子育て支援」に取り組む方針を打ち立てています。子どもの養育は思いのほか家計への負担が大きいことから、支援制度の中心は、経済的側面でのサポートに置かれています。
 「子ども・子育て支援法」を中心とする関連の3つの法律は2012年に定められました。さらに2020年には、「少子化社会対策大綱」が閣議決定され、さらなる支援の推進の必要が確認されました。このような支援策を補うかたちで、働き方改革も推進され、雇用関係の中でも出産、育児のために休暇を取りやすくするための施策が講じられてきました。
 制度的な枠組みが整えられていく中でも、少子化の傾向は続いています。社会全体が、子どもたちのこと、子どもを育む親たちのこと、将来を背負う次世代の人たちのことに、無関心に、冷淡になってはいないでしょうか。子どもたちの心が健やかに成長することを願い、そして私たちの社会が、子どもたちの将来に責任をもつことができるようにと、愛の心をもって子どもたちを見守ってまいりましょう。