2023年7月  1.交わり
 教皇の意向は、「聖体を中心に据えた生活」です。この意向をどのように理解して、祈りにつなげたらよいのでしょうか。意向の英語のテキストでは“Eucharistic Life”と記されています。辞書を引いて調べると、「聖体の」「聖体拝領の」生活という意味だと示されるのですが、具体的にはどのような生活を指し示しているのか、イメージすることは容易ではありません。
 鍵は、意向文の中にある「交わり」という言葉にありました。聖体は英語で“communion”と表わされることもありますが、その意味はまさに「交わり」なのです。つまり感謝の祭儀で司祭の手によって聖変化されたパンは、私たちと三位一体の神との交わりそのものであり、また私たちキリストにおける兄弟姉妹の交わりでもあるのです。
 キリストにおける兄弟姉妹とは、キリスト教の信仰を生きる人、洗礼を受けてキリストの弟子となった人だけに限定する意味ではありません。血縁関係にある兄弟姉妹とは異なるという意味で「キリストにおける」と表わしているのであって、時を同じくしてこの地球上で生命をいただいて生きているすべての人を指しています。その人間関係を交わりとして捉えなおして、根本から見直していこうという意向なのでしょう。
 ミサで聖体を拝領し、イエスと体の中で交わるという神秘を、人との関係に派生させて、ともに正義と平和の推進のために愛に生きること、この生き方が「聖体を中心に据えた生活」と解することができるのではないでしょうか。
 生命が軽んじられることがないように、人間の尊厳が損なわれることがないように、自分の生命のように隣人の生命もかけがえのないものとして大切にしながら、祈りの日々を過ごしてまいりましょう。