2023年7月  2.無償の愛
 日本の教会は意向として家族の絆を掲げ、その絆を「神の愛の実現として社会に示すことができますように」と祈るように奨めています。家族の絆に見られる愛の本質は、どこにあるのかについて、思いめぐらしてみましょう。
 家族の関係は、夫婦の関係と、親子の関係が基本となり、そこから、兄弟姉妹、祖父母と孫、さらには叔父叔母などの親戚へと広がりをみます。そのいずれの関係の中にも、いつくしみにあふれた、支え合いの関係を見出すことができます。私たちは例外なく、母の胎内から生まれ出た時には、自分自身では何一つできずに、すべての世話を受けて生命を長らえました。無償の愛、つまり、何の見返りも求めず相手のために尽くす思いに支えられて、生命を育んできたのです。この関係が、家族、親戚の間の関係の基礎となっています。
 無償の愛は、キリスト教の基本的な概念の一つで、人間相互の献身的な愛についてばかりか、神から人間への愛も意味します。アガペーと呼ばれる慈愛と犠牲の精神は、最上の愛の形とみなされ、イエス・キリストが示され、そして生きられたように、私たちも霊性を深めてこのアガペーに到達するように招かれているのです。
 このサイトで推進している「きょうをささげる」は、バチカンが推進する「教皇による祈りの世界ネットワーク(PWPN)」の日本での運動で、イエスに倣ってその日一日を何の報いも何の見返りも求めることなく、出会うすべての人と神に、自分自身をおささげすることを目指しています。今日の一日を、無償の愛で生きることができるようにと、その月の教皇の意向、日本の教会の意向に合わせて、おささげする生き方です。
 家族の絆の中にある宝、アガペーを意識し、その愛を生きることができるようにと願いましょう。そして、その姿勢が社会の隅々にまで伝わっていくことを祈り願って、日々を過ごしてまいりましょう。