2023年7月  4.機能不全家族
 日本の教会は、意向に「家族の絆」を掲げ、「互いをいたわる」ことで、「神の愛の実現として社会に示すことができますように」と祈るように奨めています。
 ところが、誰もが無償の愛を体験するはずの家庭が、その機能を果たせず極めて不健全な状況に陥ってしまうこともあり、その数は増加の傾向にあることを、私たちは認識しておく必要があるでしょう。そして、そのような状況にあることをいち早く察知し、愛の絆を取り戻すことができるように、手助けすることが求められています。
 家庭内に対立や不法行為、身体的、性的、精神的虐待などが恒常的に存在する家族は機能不全家族と呼ばれており、アルコール依存、ギャンブル依存、薬物依存などの依存症が主な原因として挙げられています。機能不全家族は、その家庭を構成する親、または祖父母などが機能不全家族で育ったケースが多いことも分かってきました。
 依存症は、生きているという実感が乏しい人がストレスや不安を解消して気分を改善するために行う飲酒、ギャンブル、薬物の服用などが習慣化してなると考えられており、人格崩壊を招くばかりか、その家族にも大きな影響を与えることになります。満たされない気持ちが家族に向けられて、暴力となって現れたり(ドメスティック・バイオレンス)、希望を失って自殺したりと、安らぎの場、憩いの場であるはずの家庭が、心の大きな傷を作る場となってしまうことがあるからです。
 さて、機能不全家族において最も犠牲となりやすいのが、子どもです。自らに生活力のない子どもは、その環境から脱出することできないうえに、特に親からの暴力に対しては、それを回避するすべもないからです。
 家族の絆の源にある愛情が、歪んだ形で表現され、行動に移されることのないように祈りましょう。家庭の中にある無償の愛の輝き、そこから得られる深い安らぎへと導かれますようにと祈りましょう。聖霊の働きによって、神が一人ひとりをこよなく愛しておられることに気づけますようにと、心からの祈りをささげましょう。