2023年8月  2.世界の核弾頭
 猛暑が続き、セミの鳴き声からも8月らしさが感じられます。そして、私たちが平和のために、戦争のない世界になるようにと、祈りをささげる季節の到来が心に重くのしかかります。
 戦争が続いている現実、核兵器の開発が続けられている現実を、心の痛みを持たずに受け止めることはできません。日本の教会は、8月6日から15日までを日本カトリック平和旬間と定めて、平和祈願ミサをはじめ、平和行進、平和を主題とした映画会、講演会、研修会、署名活動を行っています。広島に原爆が投下された6日から、戦争の終結を宣言した15日まで、心を込めて祈り、また、行われるさまざまなイベントの意向に心を重ねて、過ごしてまいりましょう。
 日本の教会の意向は「核兵器の廃絶」です。「被爆国として」と掲げられているように、人類の歴史の中で、核兵器によって人の命が奪われたのは、日本だけです。ですから私たち日本人が、核の不拡散、廃絶の運動を推進する上での役割は、とても大きいと自覚しなければなりません。
 世界の核兵器は、昨年比で200発の減少と推定されています。いずれも推定値ですが、それでもいまだに12,520発の核弾頭が存在しています。保有国と弾頭数は、ロシアが5,890、米国が5,244、中国410、フランス290、イギリス225、パキスタン170、インド164、イスラエル90、そして北朝鮮40の9カ国です。200発の減少ですが、実質的には拡大が進んでいることに注目しなければなりません。というのは、保有する核弾頭のうちに、退役や解体待ちなどが含まれているので、配備されて使用可能な状況に置かれている、もしくは備蓄されている核弾頭の数は、増えているからです。
 ここで用いた統計資料は、長崎大学の「核兵器廃絶研究センター」が発表したものです。このデータの発表に際して広報のために作成された反核ポスターには黒地に白色の文字で「存在する限りは使われる」と書かれていました。今起きている戦争でも、核兵器の使用の恐怖をぬぐいさることができません。
 核廃絶のために心を合わせて祈り、また一人ひとりに何ができるかを識別する一週間といたしましょう。