2023年10月  1.シノドス開幕
 世界中が準備を重ねてきた第16回世界代表司教会議(シノドス)の総会の第1会期が10月4日から29日の日程でローマにて開催されます。日本からは、司教協議会を代表して菊地功大司教が、そして議長団の一員としてセルヴィ・エヴァンジェリー会員の西村桃子さんが、また、助言者(専門家およびファシリテーター)としてベリス・メリセス宣教修道女会の弘田鎮枝さんが参加します。日本にゆかりのある人として、上智大学で教鞭をとっておられた後に母国ルクセンブルグの大司教に叙階されたイエズス会のジャン クロード・オロリッシュ枢機卿が総書記の立場で参加されます。この4人の参加者をはじめ、シノドスに集うすべての方々が、聖霊に導かれながら教会の歩む道筋を識別することができるようにと、そして何よりも、教皇の思いや願いが一人ひとりの心と響き合い、ともに旅する教会の姿が映し出されますようにと、祈りのうちに支えてまいりましょう。
 今回のシノドスは、開催の目的や方法において、これまでにない創意と工夫がなされています。教皇は、第二バチカン公会議でまとめられた16の文書を一つずつ取り上げて、教会の将来の方向を確認するといった形のシノドスではなく、世界の全信者を巻き込みながら、祈りのうちに将来を識別する形を提起したのでした。2023年の会議に向けて、2021年10月には招集を発表し、シノダリティということばを使って、聖霊に聴きながらともに旅する教会を実現しようと提案し、作業文書や討議資料を準備して、全信者がこの旅に加わるようにと呼びかけました。さらに、歩みの先を遠い将来に設定して進むべき方向性を識別することを呼びかけたのです。教皇は3千年紀ということばを用いています。四半世紀先や22世紀ではなく、千年も先の教会の姿を神がどのように望んでおられるかを探そうとした、壮大なプロジェクトの始まりなのでしょう。
 残念なことに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、このシノドスのねらいが浸透したとは言えませんし、充分な準備ができたとも言い難いところもあります。しかし、基本となる姿勢、つまり、聖霊に聴きながら識別するという生き方は、少しずつですが教会に浸透し、ともに旅する教会に向けての歩みが始まったと感じています。
 全世界の教会は、ローマで集うシノドスの参加者が聖霊に導かれて、よい識別ができるようにと祈る責任があります。4日から29日まで、シノドスのために祈る日々を重ねてまいりましょう。