2023年11月  1.すべての死者のため
 「あなたのいつくしみのうちに亡くなったすべての人を心に留め、あなたの光の中に受け入れてください。」これは、カトリック教会のミサで司祭が唱える言葉です。カトリック教会では、宗教の違いや信仰の有無を越えて、すべての死者の霊魂のために祈りをささげています。
 イエスは十字架にかけられた時、隣で十字架にかけられた犯罪人に「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる(ルカ23・43)」と語りかけました。この犯罪人が洗礼者ヨハネから洗礼を受けていたとは考えにくいですが、イエスは、この世での信仰生活も犯した罪も問われることなく、神に心を向けたすべての者が、神の光に中に招かれると確信していたのでしょう。
 11月は死者の月です。1日の諸聖人の祭日の翌日2日は、すべての死者を記念する「死者の日」とされています。日本の教会の意向もこのことに重ねて、私たちを死者のために祈るように招いています。家族、親戚、友人・知人、また世話になった方など、心に残る方々のために祈りをささげましょう。そして、キリスト教の教えの通り、また意向文の通り「すべての死者が、神のもとで永遠の安息を得ることができますように」と心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。

 ロシアとウクライナの戦闘が続いています。さらに、イスラエルとハマスの間での戦いが始まりました。子どもを含めた多数の死者がでる悲惨な状況が続いています。教皇は10月18日にX(旧Twitter)に10月27日を平和のための断食、悔い改め、祈りの日とすることを発表し、世界中で苦行と祈りがささげられました。戦争が一刻も早く終結しますように、戦争による人の死が無くなりますように、そして、戦争で命を落とした人が、神の光の中に受け入れられますようにと、祈り続けてまいりましょう。