2023年11月  2.識別
 今、世界のキリスト教でのキーワードは「識別(discernment)」です。先月の26日に、感謝の祭儀で締めくくられた第16回世界代表司教会議(シノドス)も、今後の教会の歩む道筋を、共同で識別する祈りの集いであったと表現することができるでしょう。今月の教皇の意向は、「教皇」です。継承している教会の最高の階位を担うフランシスコ教皇が自ら、「聖霊の助けを受け、託された民の群れとともに歩み続けることができますように」と祈るように、私たちを促しています。その教皇のいちばんの願いは、教会に集う一人ひとりが識別の力をつけて、神の望みを伝える聖霊の声を聴くことができるように、霊的に養成されることです。
 教皇は、毎週水曜日にバチカンでの一般謁見の折に、20〜30分ほどの講話を行っています。典礼暦に合わせた内容であったり、世界で起きている戦争や災害についてであったりと、テーマはまちまちですが、昨年の8月31日から今年の1月4日にかけては「識別」について全14回にわたった連続講話を行いました。毎回、その内容はカトリック中央協議会が暫定訳としてウェブサイトに掲載してきました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2022/08/31/25444/ ほか
 第1回のテーマは「識別の意味」でした。「識別とはすべての人に関わる重要な行為です。というのも、決断は人生の本質的な部分だからです」とその大切さを強調し、「正しい決断をするために、識別の方法を知ることが必要なのです」と述べています。そして、第2回以降は、識別の要素や対象、その際に沸き起こってくる感情、特に悲嘆と慰め、締めくくりの最終回には識別を助ける霊的同伴について、熱く語られています。
 識別を身につけるように、心掛けましょう。特にこの1週間を、識別の力をつけることを望んでいるフランシスコ教皇ご自身が、正しい決断に導かれますように、そのための心と身体の健康が養われますように、祈りをささげてまいりましょう。