2023年11月  3.永遠と永久
 日本の教会の意向は、すべての死者の永遠の安息を祈り願うことを掲げています。これは、私たちキリスト者の信仰の中心で、使徒信条では「永遠のいのちを信じます」と宣言しています。神の御子としてイエスが遣わされ、死を滅ぼして永遠のいのちを約束されたことに、この信仰の基があります。
 ところで、「永遠」を「えいえん」と読むほかに「とわ」の音を当てることもありますが、「とわ」には「永久」という字も当てられます。そのことからでしょうか、永遠と永久とは異なった意味ですが、同じようなイメージを描いてしまいがちです。永遠とは、英語のeternalにあたり、物事の変化を認識するための概念である時間と相対する、変化しないものの概念です。つまり、時間と空間が存在しない状態を指しています。一方、永久とは、英語のpermanentにあたり、ある時点からの存在が時間に限りがなく、いつまでも続くことを指しています。
 このことから理解できるように、永遠のいのちの約束とは、時間と空間を超越した全く新しい世界、次元へ生まれ出でる約束なのです。
 葬儀ミサの叙唱では「信じる者にとって死は滅びではなく、新たないのちへの門であり、地上の生活を終わった後も、天に永遠のすみかが備えられています」と唱えます。また、復活の聖なる徹夜祭のろうそくの祝福では「キリストは、きのうときょう はじめと終わり アルファと オメガ 時間も 永遠も、かれのもの 栄光と支配は かれに 世々とこしえに。」と唱えながら、復活のろうそくに刻みを入れます。
 神が人とともに住む、時間と空間を超越した永遠の世界に、すべての死者が迎えられますようにと、日本の教会の意向に心を重ねて、時間と空間の次元に生きる私たちから祈りをささげてまいりましょう。