2023年12月  1.召命と使命
 日本の教会は「召命」を意向に掲げて、私たちが「神からの呼びかけに応えることができますように」と祈ることを奨めています。
 まず私たちが心掛けるべきことは、神との対話でしょう。第16回シノドスの第1会期が行われる中、教皇はたびたび「傾聴と対話」の大切さについて触れられました。神の民の間での傾聴と対話はもちろんのことですが、神の声を傾聴し神と対話することを欠かしてはなりません。そして、対話の中で神が「私」に救いの福音を社会に伝えるために、是非ここを手伝ってほしいといった「私」への固有の呼びかけを示してくださいます。この呼びかけが「召命」です。神が「私」のいのちを、神の望まれる領域へとお召しになるのです。
 召命は、私と神との関係ですが、振り向いて人々と向き合うときに、その召命は使命に置き換わります。召命と使命は、表裏一体をなすものと理解できるでしょう。神に召された私のいのちは、教会と社会のために使われることとなります。
 この一対の私と神、そして私と人々との間の個別の約束である召命と使命は、イエス・キリストの名によって洗礼を受けたすべての人に注がれている神の恵みとして受け止めることができるでしょう。第二バチカン公会議の文書「信徒使徒職に関する教令」でも明確に示されているように、すべてのキリスト者は三つの権能である祭司職、預言職、王職に参与しているからです。
 1986年に東京で開催されたアジア司教協議会の総会のテーマは「アジアにおける信徒の召命と使命」でした。そして翌年のシノドスでも信徒の召命と使命が取り扱われ、その答申は教皇聖ヨハネ・パウロ二世の使徒的勧告「信徒の召命と使命」に著されました。
 日本の教会が召命を意向として掲げたこの機に、信徒にも注がれた神の恵みとしての召命と使命について、自分のこととして祈りの中で深めてまいりましょう。