2023年12月  2.「誰か」のことじゃない
 12月4日から10日まで、人権週間です。1948年12月10日に国際連合の第3回総会において、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として「世界人権宣言」が採択されたことを記念して、10日は「人権デー(Human Rights Day)」と定められ、それに向けての一週間を、基本的人権を意識して過ごす期間としたものです。第75回を迎える人権週間にあたって法務省は『「誰か」のこと じゃない。』をテーマとして、さまざまなキャンペーンを進めています。
 「人権デー」に深くかかわる意向として、教皇は「障がい者」を取り上げています。基本的人権が侵害される人々の中には、社会で弱者と言われている高齢者、子ども、そして障がい者が多くいます。効率や生産性が優先される社会において貢献度が低く、「役立たずならば、生きている価値はない」とでも言われそうな経済最優先の雰囲気が、世界の隅々にまで浸透してしまっているのでしょう。子どもは育まれた後にきっと社会に貢献するであろうから、高齢者はそれまで多大な貢献をなしたであろうから、大切にされるのかもしれませんが、障がい者は生涯役立たずだと決めつけられてしまいがちなのです。
 イエスは、いつも小さい人たちの、小さくされた人たちの眼差しを忘れませんでした。そして、そのような人たちに積極的にかかわりました。一人ひとりの生命は、神から与えられた恵みであって、誰一人としてのけ者にされてはならないという信念が、イエスの生き方、イエスの教えから伝わってきます。
 教皇の意向に合わせて、そして人権週間、人権デーに合わせて、他人ごとではない、自分にもかかわる大切なこととして、『「誰か」のことじゃない』人権について深め、祈ってまいりましょう。