2023年12月  3.神からの呼びかけ
 今月の日本の教会の意向「召命」は、「神からの呼びかけ」にほかなりません。では、神はどのようにして一人ひとりに呼びかけているのでしょうか。その呼びかけを、どのようにして知ることができるのでしょうか。
 キリスト教には、2〜3世紀に起源をもつレクチオ・ディヴィナという伝統的な祈りがあります。聖書を学びの対象とするのではなく、聖書を通して神と対話する道です。頭を使っての作業ではなく、心を敏感にさせて受け止めることが大切にされます。
 この伝統は、観想修道会の中で受け継がれてきました。数年前に「大いなる沈黙」というタイトルの映画が公開されましたが、その舞台となったカルトゥジオ会のグラン・シャルトルーズ修道院では、今でも毎日この方法で修道士たちが神からの呼びかけに、心を傾けています。その修道院で、12世紀に院長をしていたグイゴが祈りで苦しんでいるジェルヴェ修道士に宛てた手紙が、レクチオ・ディヴィナを分かりやすく説明していることが、第二バチカン公会議以降に注目されました。
 レクチオとは、「読む」ことです。ディヴィナとは「聖なる」という意味です。ですから、日本には翻訳されて「聖なる読書」と紹介されました。グイゴ修道院長の言葉によれば、それは「地上から天までかけられている、霊的はしごの4段階」で、1段目がレクチオ(読む)、2段目がメディタチオ(黙想)、三段目がオラチオ(祈る)、そして4段目がコンテンプラチオ(観想)です。そして、この4段目は、神と対話して、まさに神の呼びかけを受け止める段階と位置付けられています。
 ここで、レクチオ・ディヴィナについて詳しく解説することはできませんが、祈りの中で神からの呼びかけを受け止める一つの方法としてこれを身につけることは、日々の識別、召命に大いに役立つものとなるでしょう。
 短い祈りであっても、神と対話するように心がけましょう。そして、神の呼びかけを感じ取ることを心がけて、この一週間を過ごしてまいりましょう。