2024年1月  2.多様なカリスマ
 教皇の意向に示された、教会には「多様なカリスマがある」ということを、私たちはどのように受け止めたらよいでしょうか。
 カリスマとは、元来ギリシャ語の「恵み」あるいは「賜物」を指す言葉で、「神から賜った能力」という意味の用例が新約聖書にもあり、キリスト教の神学上の概念として扱われてきました。そこから転じて、一般的には、特定の人物に宿る特別な能力や資質を表す概念として用いられるようになりました。
 イエスは、闇を滅ぼして人類を罪の世から救い出し、神の国の平和を実現させるために、神のひとり子として世に遣わされました。まさに、イエスはカリスマをいただいて、出会う人々に救いの訪れを告げ知らせました。イエスのカリスマは、あらゆる領域で発揮される万能のものでした。
 イエスの教えを守り、平和のためにすべてをささげるようにと、神から遣わされている私たち一人ひとりは、決して万能ではありません。しかし、「あなたの力を、平和の実現のための『この領域』で発揮してください。そのために、わたしはあなたに「特別な賜物を与えます」と神は私たちを招いておられるのです。これが固有の召命であり使命です。
 このようにして、一人ひとりに与えられた特定の領域で発揮されるカリスマが、教会に集う人々に分け与えられていることで、普遍教会としてキリストの望まれた道を歩むことができるのでしょう。ここに豊かな多様なカリスマを見出すことができるのです。
 特別なカリスマが与えられて、その領域の使命を共同体として担おうと集められた人々は、修道会を起こしました。それぞれ固有のカリスマをいただいて、例えば教育の領域で、あるいは高齢者福祉の領域で奉仕する共同体などが、多数生まれてきました。今、日本のカトリック教会では、男子で44の修道会・宣教会が、また女子で97の修道会・在俗会が、多様なカリスマをいただきながら活動しています。
 そればかりか、キリストに従う道を選んだ私たち一人ひとりにも、固有のカリスマが賜物として与えられていることも確かなことです。教皇の意向の「多様性という賜物」を意識し、自分に与えられているカリスマに気づくことができるように、聖霊の働きを祈り願って過ごしてまいりましょう。