2024年1月  3.すべての命を守る
 能登半島地震が発生し、1月12日午後2時の時点で、石川県内で215人の死亡が確認されました。また28人の安否がわからず、情報の提供を求めています。元日に起きた未曽有の地震に、家屋は倒壊し道路は曲がりくねり、電気・水道といったインフラも大きな打撃を受け、2万2373人の方々が自宅での生活ができずに避難所での生活を余儀なくされています。
 自然災害に際して、すべての命を守ることは、常に目標として掲げなければならないことですが、現実には多くの方が命を落とされています。命を守れるかどうかの境目は、どこにあるのでしょうか。自然災害から命を守るために最も役に立つことは、何といっても日ごろからの備えです。「備えあれば憂いなし」のことわざにもあるように、最悪の事態を想定した備えをしていれば、命を守る確率が高くなることは、過去の災害の経験から学んだ大きなことでした。
 水や食料などを備えたり、家具が倒れないように固定したりと、地震や災害に強い生活環境を整えることは大事なことですが、それにもまして大切な備えは、人の輪を育んでおくことだと、理解されるようになりました。今回の震度7を記録するような大揺れに遭遇した時に、近くに誰がいて、何をしていたのかを把握していることが、とても重要です。自分の家族のことだけでなく、隣近所の方々についても、日常から交流を深めて、もしもの時にも人の輪が役に立つように備えておくことを忘れてはなりません。
 共同体を育む知恵は、教会にあります。すべての命を守るためにキリスト教の教会ができることは、共同体づくりの手伝いではないでしょうか。組織としての教会にそれだけの力がなくても、キリストの弟子となった私たち一人ひとりが、まずは自分の身の回りで暮らしている人と交流をもち、さらにはご近所同士のかかわりを仲立ちし、その交わりの中で、もしもの災害の時の備えについて話し合ったりすることが肝要です。
 日本の教会の意向として「すべての命を守る」ことを祈るように奨められているこの機に、災害に対する備えとして、人の輪、コミュニティの力が発揮できる環境づくりへの道を歩み始めてみてはいかがでしょうか。