2024年2月  1.終末期医療のガイドライン
 医師から 「これ以上治療しても回復の見込みがありません」と伝えられたとき、どのようにすればよいのでしょうか。患者が助かる見込みのない状況になった時を「終末期」といいます。その時の医療の選択は、本人に意思があればそれが尊重されますが、患者自身に意識がないことも、あるいは意識があっても判断ができない場合もあるので、そのような場合には家族に判断が委ねられます。
 一分でも、一秒でも長く生き続けてほしいと願う気持ちは、誰もが抱く自然な思いですが、回復の見込みがない状態で、どこまで延命措置を講じるかの判断はとても難しいものです。痛みを和らげることなど、苦痛を取り除くことは必要かもしれませんが、意識がないのに人工呼吸器を装着し続けることも、賢明とは言えないかもしれません。
 公益社団法人 全日本病院協会では、患者の意思表明や意向を尊重し、終末期医療をいかに開始し、継続し、中止すべきかを決定する際の一助となるようにと、「終末期医療に関するガイドライン」を策定しています。
https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/161122_1.pdf
 そのガイドラインの書式2「終末期医療における意思表明(リヴィング・ウイル)」では、6つの具体的な医療行為について、希望の「有」「無」あるいは「分からない」を記入するようになっています。その6つとは、@ 輸液、A 中心静脈栄養、B 経管栄養(胃瘻を含む)、C 昇圧剤の投与、D(心肺停止時の)蘇生術、E 人工呼吸器です。そしてこの希望はいつでも撤回し、または変更が、差し迫った場合には口頭でも行えるようになっています。
 教皇の意向は「終末期医療」で「必要な医療と人間的なケアを受けることができますように」と祈るように奨めています。人の死は必ず誰にでも訪れます。適切な終末医療を受けるには、死の迎え方について普段から家族で話し合うことが大切ですが、それがなされていないのが現実です。この機会に、自身の死の迎え方について思いをいたし、分かち合ってみてはいかがでしょうか。