2024年2月  2.外国人の就労
 厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2022年10月末時点での外国人労働者数は182万2725人です。届出が義務化された2007年以降で過去最高の人数となっています。その背景には、国内での人手不足、とくに、働き方改革の推進によって、過度な長時間労働が制限されてきたこと、人口構成が少子高齢化に傾いてきたことなどが増加の要因となっています。
 日本で外国人が就労するためには、就労ビザが必要です。ビザとは本来上陸(入国)審査時に行うものですが、就労が可能な在留資格を通称「就労ビザ」と呼んでいます。具体的には、以下の16の資格があります。技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、介護、企業内転勤、経営・管理、技能、興行、教育、研究医療、芸術、宗教、報道、法律・会計事務、教授の16です。基本的には、単純労働が在留資格によって認められていないことが分かります。
 人手不足を解消するために、2019年4月に入国管理法が改正され、新たに在留資格に「特定技能」が創設され、2023年から以下の12の技能に整理されました。介護、ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12です。この改正によって単純労働を含む幅広い業務が可能となりました。
 ただし、この特定技能の在留資格で就労するためには、技能試験を受けなければなりません。その分野に関連した技能試験と、日本語能力試験(JLPT)もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)の合格が必要となります。
 日本における外国人の就労は、上記のような制度の中で営まれていますが、資格を得られていない不法就労者の数も8万人ほどに上ります。その上位10か国は、すべてアジアの国々です。その人たちは、隠れて就労していることが原因で、劣悪な労働環境のもとでの就労が多々見受けられるのです。
 今月の日本の教会の意向は「日本で働く外国人労働者」です。日本社会の課題を解消してくださる外国からの就労者のために、その現状を理解し、そして「安心して仕事に励むことができるよう」祈りをささげてまいりましょう。