2024年2月 4.外国人労働者の医療保険 |
日本の教会は、「日本で働く外国人労働者が、よい生活環境に恵まれ、安心して仕事に励むことができますように」と祈ることを奨めています。安心して仕事に励むための制度的な裏付けは、何よりも社会保険です。日本で外国人労働者が加入する必要のある社会保険は、働く上でのリスクや生活と仕事との両立のための制度としての「労災保険」「雇用保険」と、健康維持や老後・障害・遺族に対する生活保障のための制度である「医療保険」「年金保険」の4つです。ここでは医療保険について枠組みを把握することにしましょう。 日本の制度としての医療保険には、健康保険と国民健康保険があります。健康保険は、すべての法人と、法定16業種に該当し従業員常時5人以上の個人事業が、加入する義務を負います。外国人に対しても同様ですが、アルバイト従業員であったりする場合は、適用除外者となることがあります。 国民健康保険は、国民全員が医療保険に加入できるための制度で、健康保険に加入していないすべての人が加入します。外国人であっても、本人が健康保険に加入していない場合、あるいは、本人が家族の扶養に加入していない場合には、加入しなければなりません。 アメリカ合衆国では国民皆保険の制度がありません。高齢者のため、低所得者のための公的医療保険がありますが、大部分の人は民間医療保険に加入しています。ですから、保険料が払えなくなり無保険になる人の増加がひとつの社会問題となっていますが、日本ではすべての人が安心して医療を受けることができるような制度となっています。 ただし、在留が許可されていない外国人には、この制度は当てはまりません。「短期滞在」や「研修」などの在留資格で入国し、在留期限を過ぎても出国せず、不法に滞在している外国人の数はおよそ8万人ですが、違法とは知りながらも生活の維持のために働かざるを得ません。そのため、重篤な状態に陥り、高度な治療と長期入院が必要となり、治療費を支払うことができなくなるケースが数多く発生しています。1990年代からこの問題が指摘されてきましたが、大きな改善の方向は打ち出されていません。 外国人労働者が増加の傾向にある今日、在留資格の有無にかかわらず、「日本で働く外国人労働者が、よい生活環境に恵まれ、安心して仕事に励むことができますように」、そして、課題解決の糸口が見出されるように、祈りをささげてまいりましょう。 |