2024年3月  2.現代の殉教者
 教皇は、「新たな殉教者」を意向として掲げています。この背景には、昨年の7月にバチカンの列聖省に新たに設置された「新殉教者―信仰の証人委員会」があります。さらにその背景には、カトリック教会が行う2025年の「希望の巡礼者」の聖年を、これらの殉教者をたたえるものとして計画していることがあります。
 新設された委員会は、キリストを告白し、キリストの福音を証しするために血を流した全ての人々の目録を作成するためのもので、教皇はこれを発表した書簡の中で「兄弟姉妹たちの血を流すまでに至った生涯の証言を集め、彼らの記憶がキリスト教共同体にとって大切な宝となるようにするためには、歴史研究を続けることが必要です。この研究は、カトリック教会だけでなく、キリスト教の全ての教派に関わるものです。時代の変遷を目の当たりにしている現代においても、キリスト者たちは、大きな危険の中で、私たちを結び付ける洗礼の活力を示し続けています」と述べています。
 殉教者の数は、キリスト教が地中海沿岸に広がった紀元300〜400年の頃よりも現代において多くなっていると言われています。「彼らは司教や司祭、聖別された男女、一般の信徒や家族であり、世界のさまざまな国で、その命の賜物によって、慈愛の最高の証明をささげました」と教皇は述べています。
 いのちの危険にさらされながら、キリストの福音を伝える人々に思いをいたし、その人々の生きざまの中に、神のいつくしみと慰めが豊かに注がれますようにと、祈りをささげましょう。また、キリストの福音を証しするために血を流した全ての人々の永遠の安息のためにも、祈りをささげましょう。
 復活のイエスは、弟子たちに「あなたがたに平和があるように」そして、「あなたがたを平和のために遣わす」と説かれました。戦争で、紛争で、多くのいのちが失われています。平和のために働くすべての人が、いのちの危険から守られますように祈りましょう。