2024年4月  2.ジェンダーギャップ指数
 教皇の意向は「女性の役割」について、その「尊厳と価値があらゆる文化で認められる」ようにと祈りをささげ、その実現に向けて努めるよう呼びかけています。日本の社会では、女性の地位や役割は、どのようになっているのでしょうか。
 世界経済フォーラム(WEF)では、男女格差の現状を国ごとに評価して指標化した「ジェンダーギャップ指数」に基づいた「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)を毎年発表しています。各国の男女格差を「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で評価し、国ごとのジェンダー平等の達成度を指数にしています。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示し、数値が小さいほどジェンダーギャップが大きいことを示しています。
 政治分野において、日本は、衆議院議員の男女比がは0.111で世界131位と非常に低く、閣僚の男女比も0.091で128位です。過去に女性の首相が一人もいないことも影響して、指数の一つである「過去50年間の行政府の長の在任期間の男女比」が0.000となってしまっています。政治分野全体は0.057で138位と、この分野での男女格差がとりわけ深刻です。
 経済分野でも指数は0.561で順位は123位と、日本の格差は他国と比べて是正されていないことが分かります。労働参加率、つまり仕事をしている人の男女比では0.759で81位、同一労働における賃金格差では0.621で75位と中ほどに位置しますが、管理的職業従事者の男女比では0.148で133位となっています。
 健康の分野では、出生時の性比0.944で1位、健康寿命の男女比は1.039で69位と、この分野全体では0.973で59位となっています。
 教育の分野では、識字率、初等教育就学率、中等教育修学率の男女比の指数は1.000と全く格差がない状態にありますが、高等教育就学率では0.976となり、他国では女子の高等教育就学率が高いこともあって、105位となっています。
 日本の総合スコアは、2022年は0.650で116位、2023年は0.647で125位、スコアはほぼ横ばいであるものの順位を落とし、他国に比べて格差が是正されていない状況があらわにされています。2023年第1位の国は0.912のアイスランドで、第2位は0.879のノルウェー、第3位は0.863のフィンランドとなっています。最下位の国はアフガニスタンンで、指標は0.405です。タリバンの支配下にあって、女子の就学もままならない状況が反映されています。
 日本の状況、そして最も進んでいる国々、最も遅れている国について述べました。今の状況をどのようにして打開し、男女の完全な平等を実現するために何をすることが求められているか、祈りのうちに探し求めてまいりましょう。