2024年4月  3.自立
 自立とは、他への従属から離れて独り立ちすること、他からの支配や助力を受けずに、存在することです。そのためにはスキルアップをはかり、自分でできる範囲を広げていくことが求められます。
 一般的に、自立には、経済的、社会的、身体的、精神的という4つの領域があるとされています。子どもが保護者のもとから独り立ちする過程で、少しずつ獲得していくことで、一人前の大人になったと認められるようになります。
 社会福祉の領域では、人権意識の高まりやノーマライゼーションの思想の普及を背景として、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」、「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」の意味としても用いられています。今日の社会福祉の理念は「自立支援」にあるとされています。
 今月の教皇の意向に示された「女性の役割」やジェンダーの観点からも、自立についての考察がなされています。法的にも制度的にも、また、文化的にも男女の平等がうたわれ、差別や偏見も少なくなっている中で、女性の社会進出が十分に達成されていません。
 性別に関わらず、自分でできる範囲を広げていくことは、誰にとっても豊かな人生をおくるために大切なことです。4つの領域の中で、精神的自立は、他の3つの領域の自立の基になり、意識を改革することで達成されます。
1. 自分の意見をしっかりもっていること。
2. 自分自身の言動に責任を持っていること。
3. 自分の強みなどを把握していること。
4. 感情をコントロールできること。
5. 周りの人を気にしすぎていないこと。
6. 自分一人の時間を大事にできること。
7. 主体的に行動できること。
この7つが意識改革には欠くことのできない要素とされています。
 私たちは、昨日よりも今日、今日よりも明日、キリストに倣って生きることができるようにと、日々成長するように招かれています。その成長は、ある意味で自分でできる範囲を広げていき、その能力を惜しみなく隣人に提供することでもあります。
 女性の役割について思いめぐらし、また祈る中で、自分自身のさらなる成長についても、思いをいたしてまいりましょう。