2024年5月  3.人間性
 召命の道を歩む修道士・修道女、神学生の養成の課題として、今月の教皇の意向では、人間性、司牧性、霊性、共同体性が掲げられています。そのうちの人間性は、信仰者である以前に人間としての本質、本性について、しっかりとした養成の必要性を確認したものととらえることができるでしょう。
 人間性とは、人間が生まれつき備えている特有の性質で、具体的には、思いやりや気遣いの気持ち、愛情や憎悪などの感情、また、理性や倫理などが含まれます。人間性に欠けると、他者に配慮した行動ができなくなり、まるで動物のように、本能に従って行動するようになってしまいます。
 では、どのような心掛けで人間性が育まれるのでしょうか。それは、イエスの教えを守ることが最も肝要である、と言えそうです。なぜなら、イエスの願いは平和であり、私たちを平和の使者として派遣しているからです。平和とは、他者に配慮して、謙遜に生きることで、小さな諍いの芽を摘み、感謝のうちに過ごすことだからです。愛と正義の道を歩むことです。
 教皇はメッセージビデオの中で、養成は「人々の生活と直接触れ合うことを通して、人間全体として統合されるものでなければなりません」と語っています。神学や哲学を学ぶだけでなく、人間性を伸ばし、また共同体性を身につけて、統合された人格を育むことができるようにと願います。
 司祭、修道者の道に進む道を選ぶ青年の数が減少している今日、全教会がその召命を支える責任を負っています。この一週間、修道士・修道女と神学生の養成のために祈りをささげることといたしましょう。