2024年6月  1.ウクライナから逃れた人々
 ロシアによるウクライナ侵攻から2年4か月が過ぎようとしています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年の2月の時点で約648万人が国外に逃れ、ウクライナ国内で避難するのは推計で約369万人(昨年末時点)に上るといわれています。ウクライナの人口は約4200万人ですから、人口の4分の1が自分の家で暮らすことができなくなり、国内外で不自由な生活を強いられています。
 避難民が滞在する国々の中で最も数が大きいのは、ウクライナに侵攻したロシアで、121万2585人となっています。どのような日々を過ごしているかについては、ほとんど情報が得られていません。ヨーロッパ諸国の中では、隣国のポーランドに95万6635人、ドイツに113万9690人が避難しています。極東の日本にも避難民が滞在していますが、その数はわずか2098人です。
 教皇の意向は「祖国から逃れる人々」で、「戦争や飢餓から逃れ、危険と暴力に満ちた旅路を余儀なくされた移民が、受け入れ国で歓迎され、新しい生活の機会を見出すことができますように」と祈ることを奨めています。逃れている人々は、大人ばかりではありません。子どもも乳児も、また高齢者も含まれています。もとの生活に戻ることは容易なことではありません。その苦しみ、痛みを感じ取りながら、お祈りいたしましょう。
 そもそもの原因は、戦争・紛争です。国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏は、「人道支援者は、すべての人の命を救うために、時に危険な状況にありながらも、全力を尽くして人道支援を行っています。爆撃、空爆、無差別の破壊行為から逃れる人は、後を絶ちません。支援は重要です、でも恐怖を止めることはできません。戦争を止めること、それだけです」と述べています。
 ウクライナとロシアの戦争が、そしてイスラエルとガザ地区の紛争が、即時停戦に向けて交渉を進めることができるように、世界中の人々と心を合わせて、祈りをお捧げいたしましょう。