2024年6月  2.ホスピタル
 「病院」の英語にあたるhospital(ホスピタル)の語源を調べてみると、15世紀に「必要とする人々を収容し、維持する慈善施設」という意味で使われ、16世紀には「病気または負傷した人々のための機関」として用いられていたことが分かりました。さらにさかのぼると、古フランス語では「もてなしの良い」という意味で用いられていたそうです。
 客をもてなす主人や大会などの主催者、旅館などの亭主、寄生動物の宿主などを表す「ホスト」と共通の語源で、ラテン語の「hospitem」に由来し、ホテルも同じルーツから派生した言葉です。
 私たちは体の調子が悪くなると、まずはかかりつけの医院で診察を受け、必要ならば薬の処方を受けて、自宅で安静にして過ごします。医院での診療・治療では症状が改善しなかったり、あるいはどのような病なのか判断できなかったりした時には、病院に行って、さまざまな検査を受けて病気の原因を探し、治療の方法を検討します。この一連の病に対処する過程の中で、ホスピタルの語源に込められた心の姿勢が、とても大切であることに気づきます。「おもてなし」の心です。
 日本の教会の意向は「病に苦しむ人たち」です。病気の人への思いではなく、「苦しむ人」のために祈るようにとの奨めです。どのような苦しみがあるか、想像してみましょう。痛みや苦しみが続く病状にある時、治療の見通しが立たないとしたら、全ての希望は失われてしまうでしょう。その消耗しきった心に安寧をもたらすことができるのは、キリストのいやしです。イエスの行いには、つねに「おもてなし」の心、一人ひとりを大切にする愛の心があります。
 私たちも、苦しみに寄り添って、おもてなしの心で病気の人たちに関わり、一人ひとりにキリストのいやしの恵みが注がれますようにと、祈りをささげてまいりましょう。