2024年6月  4.G7サミットの教皇フランシスコ
 教皇フランシスコは、6月14日にイタリアのプーリアで開催されたG7サミット(主要国首脳会議)に歴代教皇としては初めて出席し、セッション6「AI、エネルギー/アフリカ、地中海」のリードスピーカーとして、AI(人工知能)がもたらす課題について講演しました。特に、AIが軍事目的に使用されている現状を批判し、自律型致死兵器システム(LAWS)が人間の命を奪うようにAIが標的を選択するシステムであることについて、その開発と使用を再考し、最終的には使用を禁止することが急務であると、各国首脳に訴えました。
 全ての国が平和を希求しているなかで、兵器の開発はますます競争を激化させています。無人の兵器が長距離を飛行して爆弾を投下する技術においても、AIは用いられています。犬の形をしたロボットが、銃を発射しながら走っていく映像がテレビニュースで流れましたが、まさにAIを含めた最先端の技術が真っ先に兵器に応用されている現実を映し出しているものでした。教皇は、AIには新たな差別や争いを生む危険があるとして、早くから警鐘を鳴らしてきました。因みに2024年元日の第57回「世界平和の日」教皇メッセージは「人工知能(AI)と平和」がタイトルでした。
https://www.cbcj.catholic.jp/2023/12/26/28660/
 教皇の今月の意向は、祖国から逃れる人々が、受け入れ国で歓迎され、新しい生活の機会を見出すことができますようにと祈ることです。現在、世界の難民の数は、1億2000万人に達すると報告されており、日本の総人口とほぼ同じ数にあたります。そして、そのほとんどが、戦争・紛争で生じた難民です。
 苦しんでいる人、困っている人、悲しんでいる人に、いつくしみの心で接し、手を差し伸べることは大切ですが、それにもまして原因となった戦争・紛争を防止し、平和な社会をもたらすことが肝要です。その観点から、AIを用いた武器の禁止を掲げた教皇の主張が、世界の指導者に理解され、平和への道を歩む助けとなるようにと、心を合わせて祈ってまいりましょう。