2024年7月  1.高齢者の熱中症
 異常気象のためでしょうか、日本ではまだ6月であるにもかかわらず、最高気温が35℃を超えて猛暑日となったところもありました。また、イスラム教の聖地メッカ大巡礼に出かけた人たちのうち、少なくとも1300人が51.8℃まで上昇した熱波の中で死亡したことが伝えられています。いのちを守るために、暑さにどのように対応したらよいかを知っておくことは大切です。熱中症と呼ばれている症状について理解を深めることといたしましょう。
 熱中症とは、気温、湿度が高い環境の中で身体に熱を持ち、体温が上昇しながらも、体が熱・体温の上昇に対応できなくなり、引き起こされる様々な症状のことをいいます。症状としては、頭痛、めまいや顔のほてり、筋肉痛や筋肉のけいれん、体のだるさや吐き気、汗のかきかたがおかしい、体温が高い、皮膚の異常、呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けないなど、さまざまです。環境として気温も湿度も高く、風が弱いといった中で、これらの症状の一つでも発症していたら、熱中症を疑うことが必要です。
 対応としては、涼しい場所に移動させて、衣服を脱がし、体を冷やすこと、そして水分や塩分を補給するなどの応急処置をして、医療機関に搬送します。すぐに回復することもありますが、重症の場合は死に至る危険もあります。
 また、予防としては、水分をこまめに補給すること、気温が高い場所で長時間過ごさないことなどがあげられます。夜間に熱中症を発症することもありますので、冷房をつけて就寝するなどの工夫も必要となります。
 今月の教皇の意向は「病者への司牧的ケア」で、特に病者の塗油の意義を意識するように呼び掛けています。先に述べた熱中症は、持病のある高齢者にとってはいのちにかかわる重大な疾患で、誰も気づかずに命を落としてしまう場合もあります。ですから、今週は、すべての人が神から与えられたいのちを全うできるよう、また、高齢者にとって病者の塗油の秘跡が希望のしるしとなるようにと、祈りをささげてまいりましょう。