2024年7月  3.ターミナル・ケア
 教皇は、意向として「病者への司牧的ケア」をかかげて、病者が充実した日々を過ごすことができますようにと祈るよう、私たちを招いています。意向文にある「病者の塗油の秘跡」は、カトリック教会の7つの秘跡のひとつで、第二バチカン公会議前は「終油の秘蹟」といわれ、危篤状態にある人だけに授けられる臨終の儀式でしたが、1972年に秘跡の由来と本来的な意味の見直しが行われ、対象を「病気や臨終にある者」に改められました。司祭が祝福された油(植物油)を病者の額と手に塗り「この聖なる塗油により、いつくしみ深い主キリストが、聖霊の恵みであなたを助け、罪から解放してあなたを救い、起き上がらせてくださいますように」と唱えながら授けるものです。ですから教皇の意向に心を重ねて、この秘跡が病者にとっての希望のしるしとなるようお祈りいたしましょう。
 病者の塗油のような宗教的ないやしの業に限らず、終末期を迎えた方々に対して、不安を取り除いて心の平安を保ち、充実した日々を送ることができるよう、ターミナル・ケアと呼ばれる営みが行われています。余命が残りわずかになった方に対し、残りの人生を穏やかに過ごせるようにケアすることです。特に孤独感・迫りくる死への恐怖などの精神的ストレスを取り除き、またできるだけ苦痛を減らしていく処方が施されます。
 一般社団法人日本終末期ケア協会では、専門的な知識とスキルをもった臨床ケアにおけるスペシャリストである「終末期ケア専門士」を認定しています。少子高齢化が急速度で進行する日本において、ターミナル・ケアの充実が果たす役割は大きくなるでしょう。終末期を迎えた方々の日々が充実したものとなりますよう、祈りをささげる一週間といたしましょう。