2024年7月  4.ヨーロッパの難民
 2015年にヨーロッパで「難民危機」ということばが使われるようになりました。その背景には、ヨーロッパにたどり着いた難民の数が、上半期だけで13万7000人余りにのぼり、前年の同時期に比べると8割以上増加したことがあります。最も数が多かったのはシリア出身者で、次に多かったのはアフガニスタンやエリトリアの人々でした。
 最も多くの人々を受け入れたのはトルコでした。2011年に勃発したシリア内戦の直後から難民を受け入れはじめて、世界一の難民受け入れ国となっています。一方、EU加盟国には「難民がEU域内を目指した時、最初に入った国で難民申請をしなければならない」という「ダブリン協定」があります。しかし、あまりにも膨大な数となった難民は、ほとんどがEU加盟国のいちばん外側の国々、たとえばハンガリーや地中海に面したイタリアなどにまずは入国するので、それらの国々で難民を拒否する動きも出てきました。そこで、2015年にはドイツはダブリン協定を破って、ハンガリーに避難してきた人々を難民として受け入れることになったのでした。こういった状況を、難民危機と呼ぶようになったのです。
 今日も、ウクライナの戦渦から逃れた人々が難民となっています。シリアでも、アフガニスタンでも、あるいはアフリカのいくつかの国々でも、難民を生み出すのは戦争・紛争です。
 今月の日本の教会の意向は難民です。住むところを失った難民が、行く先々で人々の愛に触れ、人間らしい生活ができるように祈るよう、私たちを招いています。何も持たずに、命からがら逃れてきた人々の心を慮(おもんぱか)ってみましょう。その心に私たちの心を重ねて、日々平和な生活を過ごすことができるように祈りをささげましょう。
 そして、難民を生み出す戦争・紛争の根絶に向かって、力を合わせて歩んでいけるよう、日々の祈りの中で、平和を願い求めてまいりましょう。