2024年8月  5.不平等への取り組み
 2015年の国連サミットは、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を加盟国の全会一致で採択し、17のゴール、169のターゲットから構成された国際目標を設定し、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓いました。17のゴールのまず1番目では「貧困をなくそう」が掲げられ、そして10番目では「人や国の不平等をなくそう」が掲げられています。不平等が長期的な社会経済開発を脅かし、暴力や病気、環境破壊を助長しかねないとの認識に立ち、不平等を緩和し、機会や所得、権力の格差を縮小することを目指しています。
 ターゲットの中には、差別的な法律と政策を廃止すること、世界金融市場の規制を改善すること、安全で秩序ある正規移住を容易にすること、国内的、国際的に政策決定の包摂性を高めることが含まれています。しかし、不平等の現れ方は、各国で大きく異なっています。ですから、具体的な施策は各国の国情や経済的必要性、政治的な現実に根差すものとしなければなりません。
 教皇の意向は、「政治におけるリーダーが、・・・貧しい人々を優先することができますように」と祈ることです。影響力のあるリーダーが、貧困、そして不平等についての認識をさらに高め、幅広い政策支持を確保し、アクセスや機会においての不平等を減らすべく公共支出のターゲットを定め、その優先順位を見直すとともに、世代内・世代間の所得と資産の不平等を減らすべく税制・財政枠組みの方向性を転換することができますようにと、心を合わせて祈ってまいりましょう。