2024年9月  1.被造物を大切に
 9月1日は「被造物を大切にする世界祈願日」です。そして、10月4日までの期間は「すべてのいのちを守るための月間」です。教皇の意向は「地球の叫び」をテーマとして、「地球の叫びに、また、環境災害や気候変動の犠牲者の叫びに心の耳を傾け、私たちの住む世界を大切にする生き方へと導かれますように」と私たちを祈りへと招いています。
 台風の勢力が「これまで経験したことのない」までに成長したり、1時間に100ミリを超える雨が集中的に降ったりと、異常気象の表れは、私たちの日常で散見されています。地球の叫びは、脱炭素化への道を真剣に歩むようにと促しているようです。
 教皇は10年前に「ラウダート・シ」を著し、地球を「ともに暮らす家」と表現して、私たちに生活様式を見直すようにと説きました。時を同じくして国連サミットはSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を加盟国の全会一致で採択しました。国際的な目標を定めたものの、今なおその実現には至っていない状況が続いています。
 教皇はさらに昨年の10月に「ラウダーテ・デウム」を著し、アラブ首長国連邦のドバイで開催された第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)に向けての教会の姿勢を表明し、「技術主義(テクノクラティック)パラダイム」からの脱却を説きました。
 そして、今年7月、日本の教会は『見よ、それはきわめてよかった――総合的なエコロジーへの招き』と題した書籍を司教団として発行し、日本で暮らす私たちがどのようにして地球にやさしい生活をするのかを示しました。1日の「被造物を大切にする世界祈願日」を迎えるにあたって、地球の叫びを感じ取りつつ、その叫びに応えて生活の一コマ一コマを見直し、そして心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。