2024年9月 2.平均寿命と健康寿命 |
この夏のニュースのひとつは、兵庫県芦屋市在住の116歳の女性が世界の最高齢者になったことを伝えていました。 平均寿命も年を追うごとに長くなる傾向を示しています。2023年の厚生労働省の発表では男性は81.09年、女性は87.14年で、1975年の男性71.73年、女性の76.89年と比べると男女とも10年近く延びていることが分かりました。また、この3年間は、若干ですが男女とも縮みました。これは、新型コロナウイルス感染症等の影響によると説明されています。 この平均寿命は、0歳における平均余命のことで、生まれたばかりの0歳の子どもが生存するであろう平均年数を指します。ですから、幼児や小児の死亡率が低くなったことも、平均寿命の増大の大きな要素のひとつです。 そして、この平均寿命から算出された平均余命(平均的にあと何年生きるかを示したもの)が、厚生労働省から毎年発表されています。2023年の資料では、女性の場合0歳では87.14年と平均寿命と同じ値となりますが、40歳では47.85年、60歳では28.91年、80歳では11.81年、そして90歳まで生きた人の場合は余命が5.53年と、年齢を重ねるごとに少しずつ長くなっていきます。 寿命に関してもう一つのとらえ方があります。それは健康寿命で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。これは2019年の資料ですが、平均寿命と健康寿命の間には、男性で8.73年、女性で12.07年の差が生じていました。つまり、病や障害によって日常生活を制限される年数が、命を全うするまでに10年ほどの期間があるという現実を示しています。「ぽっくり死」という言葉があります。病気もせず、認知症にもならずに健康でいたある日突然、ぽっくりと死んでしまったことを表す言葉ですが、識者は、そのような死に方はほとんど不可能だと説いています。誰でも死を迎える約10年間、誰かの世話にならなければならないのです。 日本の教会の意向は、「高齢者の喜び」です。日常生活が制限されることになっても、自分の生きてきた道を、「よかった」と振り返る、また今日一日「喜びのうちに生きた」と感じることができるように、高齢者を支えていきましょう。そして、そのために、日々に祈りをおささげしましょう。 |