2024年9月  3.異常気象
 地球が悲鳴をあげています。日本では近年、夏の時期には猛暑日を記録し、また広い範囲で記録的な大雨を観測しています。異常気象は日本だけにとどまりません。世界規模で、大洪水や山火事、猛暑が続いています。ノルウェーの国際気候研究センター(CICERO)と英国レディング大学のチームによる研究によれば、「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の長期目標を採択したパリ協定の目標が達成されるだけの排出削減が行われれば、極端な気象の影響を受けるのは世界人口の20%にとどまると予測しています。しかし温室効果ガスの排出を大幅に削減しない限り、今後20年で世界の4分の3の人たちが、極端な気温や降水量の急激な変化、といった大きな環境の変化に直面することになると、警鐘を鳴らしています。
 日々の報道では、気温が35℃を超える猛暑日が続いていること、熱帯夜が続いていること、記録的な大雨が降ったこと、そして熱中症には充分に注意を払うこと、地盤がゆるんでいる地域では土砂災害に備えることなどが、繰り返し伝えられています。ところが、異常気象の原因となっている地球の温暖化にまでは触れていますが、さらなる原因である温室効果ガスの排出については、ほとんどの報道で触れられていません。何か、私たちではどうにも解決できない現象が起きてしまっているといった姿勢での報道にとどまり、根本的な原因は私たち人間のわがままであることには触れられていないのではないでしょうか。
 熱帯夜が続き、夜間に熱中症で命を落とした事例が度々報道されれば、夜間にも冷房をつけて就寝するようになります。日本の電力会社の発電施設は日中の電力使用量に合わせた規模で設備が設けられているために、夜間は発電所の能力に余剰が生じていますので、夜間の冷房の使用が直接に温室効果ガスの排出を促進しているとは言えませんが、異常気象を乗り越えるためにますます温暖化を促進するような生活様式がゆるされているように思わざるを得ません。
 10年前の教皇フランシスコの「ラウダ―ト・シ」から、私たちは生活様式を変える努力をしてきたでしょうか。脱炭素社会に向けて、自分ができる最大限の努力をしてきたでしょうか。日本の司教団が「観る、識別する、行動する」に心を重ねて、何かひとつでも行動したでしょうか。
 教皇の意向は「地球の叫び」です。異常気象は仕方のない自然現象ではなく人間が引き起こした環境危機であることを心に留め、祈り、そして行動する日々といたしましょう。