2024年9月 4.介護難民 |
![]() 「尊厳ある生活環境を求めて祖国を離れなければならなかったすべての人のために、心を合わせて祈りましょう。彼らとともに旅する意識をもって、ともに『シノドス』を築きましょう。そして彼ら皆を、そして次期シノドス総会をも、『旅を続ける忠実な神の民にとって確かな希望と慰めのしるしであるおとめマリアの執り成し』にゆだねましょう。」 https://www.cbcj.catholic.jp/2024/06/28/30181/ ところで、日本では旅を続ける難民ではない「介護難民」が深刻な社会問題の一つとなっています。様々な理由から適切な介護支援を受けられない高齢者を指します。原因としては、急激な高齢化、介護人材、介護施設の供給不足、そして、介護サービスの需要の増加などがあげられています。 国は65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以降を後期高齢者としていますが、2019年には65歳から74歳までの要介護認定率が約3%なのに対し、75歳以上の認定率が約23%でした。このことから、後期高齢者になると介護を必要とする人の割合が非常に高くなることがわかります。このような状況に加えて、2025年には第一次ベビーブームに生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、65歳以上の高齢者を含めると人口の30%となります。介護に関わる施設では、通常1人が3人の介護にあたる割合になっていますので、明らかに人材が不足する状態がやってきます。 対策としては、介護を必要としない健康な体づくりが重要なことはもちろんですが、介護事業所へのICT(情報通信技術)やロボットの導入、外国人スタッフの受け入れ、介護スタッフの給与体系などの処遇改善といった支援策や、地域包括ケアシステムによる地域の特性にあわせた在宅高齢者のサポート体制の整備が求められるところです。 日本の教会の意向は、「高齢者の喜び」です。介護難民が一人もいない社会を築いていく責任は、私たち一人ひとりにも課せられています。自分のこと、自分の家族のこととして老後の生活設計をすると同時に、互いに支え合って人生の旅を続けていくことができるように、祈りをささげてまいりましょう。 |