2024年10月  3.枢機卿
 第16回シノドスに参加している東京教区の菊地功大司教が、枢機卿に親任されることが、開催中の10月6日正午のサンピエトロ広場での「お告げの祈り」の際に、教皇フランシスコによって発表されました。
 菊地大司教は、第二会期の第一週が終わっての日曜日に、ローマ在住の日本人会のミサをささげた帰り道に、ある青年から「おめでとう、アンジェラスの時に枢機卿の発表があって、東京の菊地と言っていた」と言われて、冗談を言っているのだと思ったそうです。当の本人には何も正式な知らせがないまま、突然ともいえるタイミングで、12月8日に開催される枢機卿会議において21名が新たに任命されることが発表されたのです。日本人の枢機卿としては7人目にあたります。
 ところで、枢機卿はどのような役割を担っているのでしょうか。
 カトリック教会には位階制度があります。ローマの司教であったペトロの後継者である教皇を頂点に、司教、司祭、信徒の序列で構成されています。司教はある地域(司教区)の宣教と司牧の責任を担います。そして、いくつかの司教区は教会管区を構成し、相互の連絡協力体制を作っていますが、その中心となる司教区が大司教区となります。日本には、東京教会管区、大阪教会管区、長崎教会管区の3つがありますので、そこの教区長が大司教となります。
 枢機卿は、この位階制度の枠の外にある、特別な役職で、教皇の最高顧問です。重要な案件について教皇を直接に補佐する「枢機卿団」を構成すると同時に、個々の枢機卿は教会全体にかかわる日常的な職務について教皇を助けます。枢機卿は、原則として司教の叙階を受けた聖職者の中から教皇が自由に任命し、任期は設けられていません。そして、80歳未満の枢機卿は、教皇選出選挙であるコンクラーベでの選挙権と被選挙権をもちます。その選挙権を持つ枢機卿の数を120名としたことから、時にこの数を越えたこともありますが、80歳未満の枢機卿の定員は120名ということになります。13世紀初頭にはわずか7名しかいなかった枢機卿団が、今では世界のさまざまな地域、文化の中から選ばれた100名を超える人数に増加してきました。
 菊地大司教が枢機卿に親任されたことを、ともに喜び、またよい働きができるようにと、祈りをささげましょう。そして、今ローマでシノドスの会議で聖霊に聞きながら歩んでおられる大司教、そして日本からの参加者のためにも、お祈りいたしましょう。