2024年12月  1.「希望の巡礼者」聖年
 今年12月24日にバチカンのサンピエトロ大聖堂の聖なる扉が開かれ、「希望の巡礼者」の通常聖年が始まります。教皇フランシスコは、古来の伝統に従って25年ごとに行われる聖年の中心となるメッセージを「希望」とし、今年5月9日に大勅書「希望は欺かない」を発表しました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2024/07/24/30297/
 その冒頭で、「使徒パウロのローマの教会への手紙」5章5節の「希望はわたしたちを欺くことがありません」を引用し、「わたしは、聖年を過ごすためにローマを訪れる人たちと、使徒ペトロとパウロの町に行くことはかなわずとも部分教会において聖年を祝う人たち、そうしたすべての希望の巡礼者のことを思います。すべての人にとって聖年が、救いの『門』である主イエスとの、生き生きとした個人的な出会いの時となりますように」と述べています。
 一般的な用語としての巡礼は、日常的な生活空間を一時的に離れて、宗教の聖地や聖域に参詣し、聖なるものにより接近しようとする宗教的行動のことで、多くの宗教で重要な宗教儀礼と見なされています。カトリックでの三大巡礼地は、聖ペトロが眠る場所としてのローマのサンピエトロ大聖堂、9世紀に羊飼いが聖ヤコブの墓を見つけたとされる場所であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ、そしてエルサレムともされていますが、日本では五島巡礼など過去にキリスト者が生きた地、あるいは殉教の地に詣でる場合にも用いられています。
 今回の聖年において巡礼が目指すところは、教皇の言葉にあるように「主イエスとの生き生きとした個人的な出会い」です。今、この場所で、イエスがこの私との個人的な交わりの中で希望を示してくださることを願い、日常的な生活空間を一時的に離れて、心を三位一体の神に向けることです。ローマに、あるいはエルサレムに行かなくても、「部分教会において聖年を祝う」ならば、私たち一人ひとりは「希望の巡礼者」です。
 教皇の意向は「『希望の巡礼者』聖年が、私たちの信仰を強め、復活のキリストを生活のただ中で見出す助けとなり、私たちキリスト者を希望に満ちた巡礼者に変える力となりますように」と祈ることです。今月、そしてこの聖年の一年の間、世界中のキリスト者と心を合わせて、この意向のために祈りをおささげいたしましょう。