2025年1月  5.移民・難民の子どもの教育
 教皇の意向は、移民、難民や戦争の影響を受けた人々にも、常に教育を受ける権利が保障されるようにと祈ることです。世界各地で起きている戦争や紛争の痛ましい報道を見聞きして、一日も早く平和が実現するようにと祈る私たちは、教皇の意向に心を重ねて、この社会状況の中で一番弱い立場にある子どもたちに思いをいたし、希望のある将来のために何ができるかを考えなければならないでしょう。
 移民、難民の子どもたちに対する教育は、遠く離れた紛争地や難民キャンプでの課題ばかりではありません。日本でもある公立小学校では、在籍する児童の3割程度が外国人であるといった状況さえ生じています。
 日本では、外国人がその保護する子を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合、国際人権規約等を踏まえ、無償で受け入れており、日本人児童生徒と同一の教育を受ける機会を保障しています。しかし、課題となるのは言語です。昨年(2024年)8月に文部科学省から発表された「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」の結果では、その数が5万7千人を超えると報告されていて、10年前の約2倍に増加しています。因みに、公立学校に在籍している外国籍の児童生徒数は約13万人でしたので、4割を超える子どもたちが言語の習得を必要としていることになります。
 その対策として、通常の授業とは別の枠で「特別の教育課程」を設けて指導を行っています。内容としては、小中学校では、挨拶や体調を伝える言葉、教科名や身の回りの物の名前などを知って使えるようにする「サバイバル日本語」、文字・表記・語彙・文法、学校への適応や教科学習に参加するための基礎的な力をつける「日本語基礎」、「聞く」「話す」「読む」「書く」の言葉の4つの技能のうち、どれか一つに焦点を絞った学習として「技能別日本語」、さらに、「日本語と教科の統合学習」「教科の補修」などが用意されていて、子どもの習熟度によってきめ細かな対応がなされています。
 言葉の不自由は直接生活の不自由さにつながります。日本で暮らす外国籍の子どもたちにも、ふさわしい教育の機会が与えられて、豊かな人格が育てられることを祈り願う一週間といたしましょう。