2025年8月  1.「正義と平和」の50年
 戦後80年となる今年、日本カトリック正義と平和協議会(略称:正平協)は、これまでの活動をまとめた『「正義と平和」の50年』と題したB5判206頁の冊子を刊行しました。巻頭の「はじめに」では、会長であり、責任司教のウェイン・バーント司教が、ルカ福音書の4章に記されている「主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである」(4・18b-19)を引用して、「貧しく弱くされた人の立場に自らを低くし、寄り添い歩むことで福音を宣べ伝えましょう」と述べています。
 今月の日本の教会の意向は「平和」です。ここでは、平和に向けての教会の活動をまとめたこの冊子を紹介することにします。
 第1章は「現在」と題して、1.憲法、2.憲法9条、3.脱原発、4.死刑廃止、5.沖縄基地問題、6.日韓連帯、と今日の課題に教会がどのように取り組んでいるか、またその背景にある福音的な価値観について、この課題に取り組んでいる司教や司祭が執筆しています。
 第2章は「歴史」です。特に、日本のカトリック教会が発表した声明文の中から28を選んでその全文を掲載している個所は、50年の時の流れの中で教会が関わってきた社会の問題や課題の変遷をたどるのに、とても良い資料となっています。
 第3章は「各地の正平協」の紹介です。15の教区のうちまだ3つの教区で正平協関連部門が立ち上がっていませんが、それぞれの地域特有の課題について、取り組みの試みが紹介されています。
 第4章は「展望」です。紙幅はほんの4ページの章ですが、行動指針、方向性、課題をしっかりととらえ、展望を明らかにしています。
 第5章は「資料集」です。年表では50年の歩みを7つの段階に区切って整理し、項目を色別に表して、たいへん分かりやすい、貴重な資料となっています。全国集会の開催地、テーマの一覧表、声明文の一覧表、「JP通信」の目次の一覧表なども、資料としての価値は極めて高いものです。
 平和を祈るときに、貧しく弱くされた人に寄り添い歩むことで福音を宣べ伝えた教会の歩みをふり返ることも大切です。日々、「あなたがたに平和があるように」と言われたイエスのことばを心に留めて、平和のために尽くしてまいりましょう。