2025年8月  5.「剣をさやに納めなさい」
 教皇レオ14世は、今夏7月28日から8月3日までバチカンで開催された聖年行事のひとつである「青年の祝祭」の歓迎式にサプライズで登場し、およそ12万人の青年に向けて挨拶しました。その中で「わたしたちの叫びは、世界の平和のためのものでもあるはずです」と話し、「わたしたちは世界に平和を望んでいます」と皆で言おうと呼びかけ、参加者たちも声を合わせてその言葉を唱えたことが、バチカンニュースで報道されました。
 また教皇は、このPWPN(教皇による祈りの世界ネットワーク)に8月の特別意向を寄せて、広島と長崎への原爆投下にも触れながら「自らの選択がすべての人々に影響を及ぼすことを意思決定者たちが心に留め、弱者のニーズや平和を求める世界共通の願いが無視されないよう祈りましょう」と呼びかけました。
 今まさに平和が求められています。戦争や紛争が終息の方向に向かう気配をみせません。果たして、武力や暴力によって自らの主張を認めさせようとする姿勢や態度に対して、どのように立ち向かえばよいのでしょうか。戦争や紛争は双方が自己の正統性と自己の正義を掲げて、同じ土俵で争い、ヒトのいのちを奪い合っているにほかなりません。キリスト教は過去にはこの土俵の上にのぼって、ヒトのいのちを奪う過ちを犯しましたが、イエスはどのように教えているのでしょうか。
 それは徹底した平和主義です。非暴力を貫くことです。防衛するための武器すら認めません。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる(マタイ26・52)」は、イエスと一緒にいた者に向かって言った言葉です。この姿勢を貫くためには、神への信頼と自己の明け渡しが必要となり、決して容易なことではありません。
 今月は教皇も日本の教会も平和にまつわる意向を掲げています。教皇の若者への呼びかけに呼応して、私たち一人ひとりも「わたしたちは世界に平和を望んでいます」と心の中で大きな声で叫びましょう。そして、非暴力を貫くことができるように祈りましょう。