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「さなぎの食堂」

「さなぎの食堂」

 

「さなぎの食堂」をご存じでしょうか?

「さなぎの食堂」は横浜港の近くの寿町という、かつての日雇い労働者の町の中にある食堂です。

戦後、横浜港で働く人々でにぎわった町は、港の仕事が減るにつれ、失業者で溢れる町になりました。住人の多くは地方から都会に出てきた人たちで、身寄りのない人も多いです。三畳一間のいわゆるドヤに住み、生活保護で暮らしている人もたくさんいます。路上で生活する人もめずらしくありません。そのような状況の人たちに、1日1回でもいいから温かい食事を食べてもらいたいと願う人たちが作ったのが、この「さなぎの食堂」です。

 

毎月末の土曜日に、私は「さなぎの食堂」を手伝っています。近くのコンビニを廻り、賞味期限の迫ったパンや弁当、そして関連する弁当工場で余った食材をいただくのが私の仕事です。パンや弁当は賞味時間内に食堂で廉価で販売し、食材は食堂で使わせてもらいます。

 

「おはようございます。じゃあ、コンビニにいってきますね!」

「いつもありがとね。気を付けていってらっしゃい!」

朝、私が食堂に顔をだすと、食堂で働く皆さんが元気よく声をかけてくれます。その声を聞くと、なにかとても心が温かくなります。コンビニに行くと、「さなぎの食堂」の活動を知る店員さんが、明るく応対してくださいます。彼らとの何気ない会話も、とても楽しみです。

1年前から、東北大震災のボランティアで知り合った仲間が、私と一緒に手伝ってくれています。コンビ廻りが終わった後で、彼と話をすることも、私の楽しみの一つです。

 

「さなぎの食堂」を経営する「さなぎ達(*)」は、食堂以外にも、「さなぎの家」という住民同士の語らいの場を設けたり、「木曜パトロール」として週に一度、ホームレスの人たちに声をかけてまわったり、寿町の人たちを支える様々な活動をしています。寿町の「小さき者たち」に寄り添うために、たくさんの人たちが、様々な活動してくれています。その姿をみるたびに、「困っている人のために何かしたいという人が、こんなにたくさんいる」と、とても嬉しくなります。

 

寿町の人たちに対して私ができることはわずかです。でも寿町の人たちを支えようとしている「さなぎ達」や「さなぎの食堂」を支えることはできます。それは月1回手伝うことでも、会員になることでも、寄付をすることでも、励ましの言葉をかけたりすることでもよいでしょう。

「小さき者たち」がいて、それを支える人がいて、さらにその人を支える人がいる。

そうやって、多くの人たちが「小さき者たち」を支える世の中になってくれればと思います。

 

(50代 男性 会社員)

 

*さなぎ達:http://www.sanagitachi.com/sanagikitchen.html

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