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7. パートナーシップ

 今回のサミットの一つの特徴は、アナン国連事務総長が2年程前から提唱を続けた「パートナーシップ」というところにありました。ヨハネスブルグに参集した人々が論議するなかで、「パートナーシップ」は、キーワードとなっていきました。
 種々の資格・地位・立場があり、その求めはしばしば異なります。しかも、それぞれの求めは、地球規模の大きさで現れます。たとえば、企業側は、資金、技術、人材を提供してパートナーシップに参加します。これに対して、NGO側は、人権重視、環境推進などに関して国連が出している原則の遵守を求めます。
 アナン事務総長が、9月4日の記者会見で発言したように、「国連、政府、NGO、企業のそれぞれの知見、資源は単独では生かされ」ません。逆に、パートナーシップを、達成できるなら、素晴らしい成果が生まれます。「企業が利益だけを追求するなら、発展途上国の状況の改善とつながらないでしょう」と、発展途上国やNGOの多くが発言しました。そのように、企業の責任は、たいへん重いのです。
 9月27日に、日米欧の主要自動車メーカーのトップが、パリで環境会議を開きました。歴史上初めてのことで、トヨタ自動車、米ゼネラルモータース、仏プジョー・シトロエングループなどが参加したようです。サミット後の、一つの動きです。  このような努力によって、経済・市場のグローバル化による矛盾や破壊を食い止め、社会や環境の向上につながるグローバル化をめざすべきです。
 きびしい現実状況ですが、政府も企業もNGOも、真の意味でのパートナーシップを理解し、その達成をめざして行動するよう要請したいと思います。
 日本の国内レベルでも、このパートナーシップの例を見ることができます。
 3年前に「地球温暖化対策推進法」ができ、それにより「全国地球温暖化防止活動推進センター」(JCCCA)が、各都道府県に設立されました。JCCCAの最大の特徴は、市民・自治体・産業のパートナーシップによって運営されていることです。運営委員の中にはNGO、自治体、産業界の代表も入り、様々なスタッフがいて、地球温暖化に際し、市民向けに情報を収集、発信し、対策を推進しようとしています。市民、NGOの専門的な知識を持った人、そして産業界を結んで、ネットワークを広げています。内外の情報が簡単に入手できるようになると、地球規模の問題に関心が増して、行動につながっていきます。例えば、マクドナルドのラッピングは、ずっとプラスチック製でしたが、海外の学生がメールをみんなで書いたために紙に変わった、という実例があります。
 私たちがNGOを支援し、政府自治体や企業に働きかけ、産業界も対策を講じ、協働することによって、全体が変化していけるのではないでしょうか。

JCCCAについての参考資料 : 地球温暖化シンポジウム「キミも考えよう!気候変動!」議事録
(環境NGO 上智大学サークルG・E・L・Cのホームページ)



(特集-地球環境 7 2002/10/11)

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