アーカイブ

フランシスコ・ザビエルからの手紙(2)

 この手紙には、ザビエルの日本人に対する高い評価、またザビエルがとらえた日本人の特質、特に名誉を重んじることについて、率直に表現されています。

「日本についてこの地で私たちが経験によって知りえたことを、あなたたちにお知らせします。
 第一に、私たちが交際することによって知りえた限りでは、この国の人々は今までに発見された国民の中で、最高であり、日本人より優れている人びとは、異教徒のあいだでは見つけられないでしょう。彼らは親しみやすく、一般に善良で、悪意がありません。驚くほど名誉心の強い人びとで、他の何ものよりも名誉を重んじます。大部分の人びとは貧しいのですが、武士も、そうでない人びとも、貧しいことを不名誉とは思っていません。
 彼らは、キリスト教の諸地方の人びとが決して持っていないと思われる特質を持っています。それは武士たちがいかに貧しくても、武士以外の人びとがどれほど裕福であっても、たいへん貧しい武士が金持ちと同じように尊敬されていますし、たいへん貧しい武士は、どんなに大きな富を与えられても、武士以外の階級の者とは結婚しません。低い階級の者と結婚すれば、自分の名誉を失うと考えているからです。すなわち、名誉は富よりもずっと大切なものとされているのです。他人との交際はたいへん礼儀正しく、武具を大切にし、たいへん信頼して、武士も低い階級の人たちもすべてが、刀と脇差とをいつも持っています。
 日本人は侮辱されたり、軽蔑の言葉を受けて黙って我慢している人びとではありません。また武士はすべて、その地の領主につかえることを大切にし、領主によく臣従しています。彼らが臣従しているのは、もし反対のことをすれば罰を受けるから、というよりも、臣従しなければ自分の名誉を失うことになると考えているためだと思います。
 人びとは賭博を一切しません。賭博をする人たちは他人の物を欲しがるので、そのあげく盗人になると考え、たいへん不名誉なことだと思っているからです。」

(特集-聖フランシスコ・ザビエル 2 2006/3/17)

ページ上部へ戻る