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フランシスコ・ザビエルからの手紙(9)

 1549年に書かれた以下の二つの手紙には、宣教するにあたって、周囲の人びとにどのような態度で接したら良いか、助言が与えられています。前者はホルムズ(ペルシャ)に向けて出発するバルゼオ神父に宛てて、後者はインドにいるアントニオ・ゴメスに宛てて書いたものです。

「もしもあなたが厳粛で悲痛な顔つきをしていれば、多くの人たちは恐れをなして、あなたに相談することをやめてしまうでしょうから、重苦しく、いかめしい顔をしないで、快活な態度ですべての人たちと交際しなさい。それで、あなたと話をする人たちが恐れを感じたりしないように、愛想良く親切で、特に叱責する場合は、愛情と慈しみをもってするようにしなさい。」
「アントニオ・ゴメスよ、あなたはフランシスコ会やドミニコ会の聖なる修道者に神の愛と友愛、そして人間的な温かい愛情をもって接し、また彼らすべてに愛情を傾けるようにお願いいたします。彼らに対し、つまずきになるようなことがないように気をつけなさい。〔心の内に〕深い謙遜を持って、それをいつも実行するように努め、そして時々彼らを訪問し、あなたが彼らを愛していることを彼らにわかってもらえるようにし、〔他人の〕不和を喜び、好んで〔陰口をきく〕人びとに、あなたがすべての人を愛していることが分かってもらうようにすることを私は望んでいます。
 何よりも私があなたにお願いすることは、あなたがすべての人から愛されるようにしていただきたいことです。人びとがあなたがたのうちに深い謙遜があり、あなたがたが互いに愛し合っていることを認めるならば、それはきわめてたやすいことです。できうる限り、そうしてもらいたいとお願いします。そして学院の責任者が兄弟たちに命令することを望むよりも、彼らからより多く愛されるように努めてください。あなたがた全員が準備していてください。もしも日本でインドよりももっと大きな成果をあげることができる状態であると私が判断すれば、すぐにあなたがた全員に手紙を書いて、私がいるところへあなたがたのうちから、大勢の人が来るように最初に知らせますから。」

(特集-聖フランシスコ・ザビエル 9 2006/5/5)

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