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1. ロザリオの始まり

 ロザリオの祈りは「聖母マリアへの祈り」を唱えながら、福音書の中に記されるキリストの主な出来事を黙想していく祈りです。
 「ロザリオ」という言葉はラテン語では“ロザリウム”つまり“バラの冠“という意味を持っています。「聖母マリアへの祈り」一つをバラの花と見なし、それを連続して唱えることでバラの花冠を編み上げるというイメージからきています。又、「コンタツ」という呼び方もありますが、これはポルトガル語の「数える」から来ているようです。

 ロザリオの歴史を振り返ると、詩編を唱える「聖務日課」にその起源を見ることが出来ます。初代教会では聖パウロの「絶えず祈れ」という言葉を受けて、詩編を決まった時間に分割してとなえるようになりました。この祈りを唱えるためには文字が読めることが前提ですが、古代・中世では誰もが字を読めたわけではありません。ですから当時「聖務日課」は、主に修道者の間でしか行われていませんでした。
 しかし、いつの時代にも、神に心を向けて神との対話を望む人々がいます。信徒の中にも、「聖務日課」のような祈りをすることが出来ないかと考える人が出てきました。そこで考え出されたのが150編の詩編の代わりに「主の祈り」を150回唱える方法です。これが今日のロザリオの歴史的背景になっています。
 もう一つの背景として、聖母マリアへの敬愛があります。人々の間に聖母への敬愛が広まるにつれ、修道院では「聖務日課」の他に「聖母の小聖務日課」が付け加えられるようになりました。そして、信徒達の間でも「聖母の小聖務日課」を唱えたいという望みが生まれて、150編の詩編の代わりに聖母マリアへの祈りを150回唱えるようになったといわれています。

 また、言い伝えによると、ロザリオの祈りは、ドミニコ会を創立した聖ドミニコが、アルピ派の異端者に宣教しようとしたとき、聖母マリアに勧められた祈りだったともいわれています。ドミニコはこの祈りを体系化して庶民に進めることによって大いなる効果を上げたとされ、16世紀にはロザリオの祈りの創始者は聖ドミニコであると認められました。

 10月7日はロザリオの聖母の記念日ですが、これはピオ5世教皇によって定められました。1571年、レパントの海戦でキリスト教徒がオスマン・トルコに対して勝利を収めたことを記念していますが、この勝利は、ロザリオの祈りによってもたらされた聖母の助けによるものであると信じられています。
 このロザリオの記念日をもつ10月は、ロザリオの月として定められています。

 このようにロザリオの祈りは、長い歴史の中で聖霊に導かれて次第に変化し整えられてきました。そして多くの聖人達に愛され、奨励されてきた祈りなのです。

参考資料
「目からウロコ ロザリオの祈り再入門」女子パウロ会
「おとめマリアのロザリオ」教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡 カトリック中央協議会
毎日のミサ2009年10月号 

(特集-ロザリオ 1 2009/9/4)

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