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1. 復活

  遠藤周作は若い時、キリスト教に反発を感じていました。当時のキリスト教は、十戒を中心とした道徳的な倫理として紹介される傾向にあったので、そうした反発は当然だったかもしれません。しかし中年を過ぎる頃、彼のキリスト教に対するとらえ方は変えられてきました。そして、日本人にこそキリスト教は必要なものではないかと思い始めました。それは、日本文化には復活思想というものがないのに対して、キリスト教ではイエス・キリストが復活したというところにその本質があるからです。
 「復活」という言葉は、誤解されやすい表現ではないかと思います。「復」という文字のために、死ぬ前と同じ体の状態に戻ると思われがちです。原文の正しい訳はむしろ、「立ち上がられた」ということです。イエスが、墓からも死からも立ち上がられた。そして、前の体の状態よりももっと高い、輝かしい永遠の命に挙げられたということです。イエスは、死に打ち勝って永遠に生きておられるのです。私たち人間も、つまづいたり、落ち込んだり、失敗することがあります。しかし、そんな私たちも、死からさえ立ち上がられたイエスの息吹を受けて、立ち上がることができます。ともすれば生きる喜びや希望を失いつつある現代人にこそ、イエスのように私たちも、挫折や失敗などから立ち上がることができるのだということを、声を大にして伝えたいと思います。


 

(特集-よろこび 1 2002/3/29)

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