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死から命へ

スペインの詩人ホルヘ・マンリケが、父の死についていみじくも書いたものですが、「我々の人生は、死である海に向かって行く川だ」と言っています。これは誰もが考えることです。生命あるものはすべて死に向かっていく。海に向かって流れて行く川のように、命も死に向かって流れ、死の内に消えてしまうように見えるのです。しかし死は終わりではありません。 イエスはこう言われました。「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」 これは自然界の現象と言えましょう。冬は自然が死んでいるかのように見えます。多くの木には生命がないように思われます、しかし春になると生命の力が現れてきます。葉が出て、花が咲き、実を結びます。 目に映る世界では、命から死への流れが強く見られます。けれども本当のプロセスは、死から命への動きではないでしょうか。 多くの人は体が衰えてくると、もう終わりが近づいたと感じます。気力が優れていないときも同じように感じます。しかし、人は本能的に、生きたいと願うものです。 死を超える力、苦しみに打ち勝つ方法を求めています。これはただの願望ではなく、イエスにおいて現実になるのです。

(特集-渇き 5 2002/3/8)

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