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3. 環境開発サミット(3)

 環境開発サミット・ヴァチカン使節団代表:レナト・マルティノ大司教による演説(要約と解説)
 マルティノ大司教は、演説で、5つの点を大切にするように、訴えた。

(1)連帯を大切にするところから、環境が守られる
 今や、先進国の独善的なリーダーシップや、強い国の一方的な圧力支配に頼る時代は過ぎ去りました。貧しい国が取り残されるという現象それ自体の中に、地球環境が破壊される原因が発生します。全ての国々は強い連帯をつちかって、持続可能な開発に取り組む責任があります。

(2)持続可能な開発とは、人間の統合的な成長を含むはずのもの
 開発が進められるときに、表面的な繁栄とか、生活の一時的な便利さということばかりを追うのではなく、絶えず、人間の統合的な成長が果たされているかどうかを、チェックする必要があるでしょう。開発の進展が、人間の統合的な成長を実現するものになるような努力が望まれます。

(3)貧しい人々と貧しい国々の積極的な参加を有する、持続可能な開発の選択と決定
 開発の方法を選択し、決定する、国際的な機会のたびごとに、各国が気をつけたいことは、次のことです。つまり、経済的、政治的、文化的に、影響力が乏しいように見える人々・国々を軽んじないということです。逆に、それらの人々・国々の積極的な参加を促し、その人々の声に十分に耳を傾ける努力をするところから、地球環境を守るための良い知恵が生み出されます。

(4)貧しい人々が単なる消費者という鋳型にはめ込まれてゆくことを避ける道
 強い国と強い企業が、貧しい国々を援助するときに、陥りがちな傾向があります。貧しい人々は貧困状態から抜け脱したい望みを有し、強い企業はどこからでも利益を得ようとします。この両方が、結びつくとき、貧しい国の人々が財を持てるようになることへの援助は、貧しい人々と国々とを、強い国・企業の生産品のマーケットとしてのみ関わろうとする危険性です。持続可能な開発を求める世界においては、貧しい人々・国々の人間性が十分尊重されることです。

(5)すべての国の可能性を生かすことのできる道
 グローバリゼーションには利点と難点があります。そのなかの危険性を改めて思い起こす必要があります。というのは、大きな地球規模の支配システムは、各々の国を浅く表面的にしか扱わないという危険性です。ひとつひとつの国は、それぞれ独自の深い文化や歴史的背景をもち、独自の発展を願っています。そのような、個々の国々の可能性を生かせる道を見つけてゆくことでしょう。

(文責 せせらぎスタッフ)

(特集-地球環境 3 2002/9/13)

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