2024年5月  4.出生率の低下
 我が国では子どもを持とうとしないカップルが増加し、また結婚生活を望まない若者が増加し、出生率は年々低下しています。
 合計特殊出生率という指標で経年変化や諸外国との比較を行いますが、それは、出生力、つまり人口に対して生まれた子どもの数を表す指標のひとつです。 その年次の15 歳から49 歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に子どもを産むとしたときの子どもの数に相当します。2023年の人口動態調査によると、日本の合計特殊出生率は1.26で、前年の1.30よりも低下し、過去最低になりました。また、出生数は770,759人で、前年の811,622人から減少し、1899年の調査開始以来最少となりました。
 国際的にみると、2022年の統計ですが、日本は212の国と地域の中で197番目に位置していて、出生率の低い国であることが分かります。最下位は香港の0.77、次は韓国の0.81で、東アジアでの低下の傾向がうかがえます。
 日本の出生率の低下の原因として、大きく4つの要素があげられています。第一は若者の結婚及び出産に関する意識が変化していることです。未婚化、晩婚化の傾向は年々進んでいます。第二は、育児に対する経済的負担が大きいことです。子育て支援の政策が国レベルだけでなく地方自治体レベルでも盛んにおこなわれていますが、妊娠や出産に対する助成が充分とは言えません。第三は、男女の賃金格差が依然として存在していることです。4月第2週で言及したように、日本のジェンダーギャップ指数は0.647と、146カ国中125位で、高い水準とは言えません。第四は、育児や家事に対する女性の負担が大きいことが挙げられます。
 このような社会状況の中で誕生した子ども一人ひとりを、大切に育てる責任を、私たち社会全体で分かち合うことが求められています。今月の日本の教会の意向は、「子どもの成長」です。新しいいのちをいただいてこの世に生まれ出でた一人ひとりに、神のいつくしみが注がれ、健やかに成長していくことを、ともに祈り願いましょう。