2024年11月 4.COP29 |
11月11日から22日まで、アゼルバイジャンの首都バクーで国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開催されています。 教皇フランシスコは、昨年のCOP28に向けて、使徒的勧告『ラウダーテ・デウム―気候危機について』を著し、自らCOP28への参加を志していました。残念ながら、健康上の問題で会議への出席はかないませんでしたが、メッセージは会議で代読されました。 (参照:2023年12月 5.COP28とラウダ―テ・デウム) 今週は、教皇と日本の教会の意向から離れて、地球にとっての緊急課題である気候変動に大きな影響を及ぼすこの会議に注目し、その成功を祈ることに致しましょう。 気候変動の影響は、日常生活をひしひしと脅かしていることが実感されます。この夏の日本は平均気温より1.5℃高い水準で推移しました。雨の降り方も異常で河川の氾濫や土砂崩れ、道路の冠水などが各地で頻繁に起きています。日本ばかりではありません。世界各地で気候変動の影響が、人々の生活を脅かしています。 異常気象の原因は地球の温暖化に起因しているという共通認識から、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「国連気候変動枠組条約」が1992年に採択され、世界は地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。同条約に基づき、COPが1995年から毎年開催されています。 今、会議の議論の中心は目標達成のための資金を国際間でどのようの分担するかに置かれています。化石燃料の消費が多い先進諸国が、どの程度それを負担するのかが課題となっていますが、その消費国の一つであるアメリカ合衆国は、過去トランプ大統領の任期中にこの条約から離脱してしまいました。バイデン大統領の任期中に、この条約に復帰しましたが、次期大統領であるトランプ氏の今後の政策に注目が集まっています。 また、今回の開催国であるアゼルバイジャンは、化石燃料の産出国であることから、アリエフ大統領が、欧米メディアや欧米諸国を「偽善」「ダブルスタンダード」などと激しく非難するなど、不安材料がたくさんあります。一方では、イギリスが2035年までに温室効果ガス81%削減する目標を発表するなど、希望を感じさせる発表もありました。 私たちは、日々の生活で小さな努力を重ねて地球の温暖化を避ける営みを続けることが求められていますが、COPのような重要な国際会議にも関心を寄せ、その成功を祈ることも求められています。教皇の気候危機についての思いに心を重ねて祈り、地球を愛する日々を過ごしてまいりましょう。 |