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2. 日本の地区長のための指針

 ヴァリニャーノは地区の最高責任者のための指針を書いた。

・できればイエズス会の三つの中心的な家を建てる。
・この三つの家で宣教師や学生の勉強の場を提供すること。
・この三つの地方はそれぞれの長上を持ち、その上に日本全体の長上がいる。両方とも自分のもとにある家と会員を訪問しなければならない。
・日本人を会員として受け入れなければ日本全体の教会は存続しない。
・日本人に対する態度も、厳しさをもってすることから寛大さを示すよう変更する必要がある。
・日本の教会全体に関してこれまでキリシタンになった人々だけを守るのではなく、これからも入信を促進することによって教会の発展に向け一層努力すること。
・イエズス会員の家や教会を日本の習慣にしたがって清潔に保ち、客が受け入れられやすいように建物を作る。
・さらに困難に出会うキリシタン達(特に地位の高い場合)の援助に力を注ぐ。

 これらの項目と「インド諸事要録」との一貫性を比較すると、その根本的な考え方は変わっていないが、強調の相違が明らかになる。例えば地元の人々をイエズス会に受け入れる必要性の強調や、会員の家の清潔や客室に関する規定は明らかに日本の状況を考慮した規定であり、インド時代のヴァリニャーノに見られなかったものである。影響力のある人(社会の高位の人)から宣教を始めるという方法は、ヴァリニャーノ来日時に布教長であったカブラルの方針とほとんど変わっていない。

(特集-ヴァリニャーノ 2 2006/10/6)

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