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15. お役にたてますか?
神戸の震災時に、残念ながらボランティア活動に参加することができなかった私は、今回は是非!と思いながらも不安を感じていました。特別な資格も特技もなく、そう若くない私に、何ができるのかということです。メディアでは多くのスペシャリストや、若者たちの活躍が生き生きと伝えられている中で、足手まといになるのではと、躊躇しておりました。
6か月が過ぎ、報道の内容も少し変化する中、思い切って仙台サポートセンターに問い合わせをしてみました。「50代です。お役にたてますか?」「はい、もちろんです。ぜひお願いします。」この一言に後押しされて、初ボランティア参加となりました。
場所は塩釜。前日に台風が通過し、震災による地盤沈下による再度の水害に遭った町でした。2度の災害により、町の方たちは心身ともに疲れきっている状態でしたので、初めは会話にも気を遣いました。作業を進めていくうちに、少しずつ気持ちがほぐれて、当時の状況や家族のことなどを話してくださるようになり、被災された方々の真実の思いや願いは、やはりその場に共にいる者でなくてはなかなか聞けないことだと思いました。つらい体験を話すことで、また、被災された方も気持ちを軽くし緊張を和らげられた様子に、ほんの少しですが気持ちに寄り添うことができたのではないかと感じています。
『大切なのは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたかです。』これは、マザーテレサの言葉です。心を込めるとは、相手を思いやり相手の立場で考えてことをなすことだと思いますが、なかなか難しいものです。時折、独りよがりの自己満足になってしまうことがあるからです。心を傾けて聴くことを、日々の生活の中で実践していくことで、支援活動に参加することが身近になるのではないでしょうか。
お世話になった塩釜ベースでは、「いってらっしゃい。」「おかえりなさい。」と、声をかけてくださいます。この声は、ボランティアの私たちをしっかりと支えてくれるものであり、一日の活動の原動力と言ってもよいほどでした。何か人のためにしたいという気持ちは、誰もが持っています。なぜなら、人は人との関わりの中で生きていくものだからです。私はこの支援活動を通して、真の復興とはどういうことか、また、その支援の難しさにも気づかされました。
小さな一歩からたくさんのお恵みを頂戴したことに、心から感謝しております。「お役にたてますか?」「もちろんです。」初めの一歩を踏み出してみませんか?
50代 東京都在住 女性
(特集-だれかのためにできること15 2011/10/7)