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フランシスコ・ザビエルからの手紙(11)

 親戚、友人、知人のない宣教地に赴き、神の敵に囲まれながら生きることについて、ザビエルは次のような手紙を書いています。

 「神は私たちにこの未信者たちが住む地方へお導きくださって、私たちが自分をおろそかにしないために、たいへん大きな、そして意義深い恵みを与えてくださいました。なぜなら、ここには親戚も友人も知己もなく、またキリスト教の信心もなく、すべては天と地を創造なさった御者の敵で、すべては偶像崇拝者で、キリストの敵ばかり、神のほかには信頼し希望をおくことのできるものは、何一つとしてないのです。ですから、私たちは、信仰と希望と信頼のすべてを、信仰がないために神の敵になっている人間にではなく、主なるキリストにおかざるをえません。
 私たちの創造主、救い主、主なる御者を認めている他の国々では、父、母、親戚、友人や知己の愛情、また祖国愛、健康な時にも、病気に際しても、この世で生活するのに必要なものを補ってくれる現世的な富や、霊的な友人たちがいますから、被造物である人間には、神のみに頼ることをおろそかにする原因となり、信仰の妨げとなります。とりわけ私たちが神に希望を託さずにいられないのは、私たちを霊的に助けてくれる人物が(ここには)いないことです。それゆえ、神を知らない人ばかりの異境におりますと、被造物には神への愛とキリスト教の信仰が全く欠けていますから、彼らは私たちに信仰、希望と信頼のすべてを強制し、助けて、神の全善に頼らざるをえないように仕向けるのです。(こうして)神は大きな恵みを私たちに与えてくださっています。」

(特集-聖フランシスコ・ザビエル 11 2006/5/19)

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